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アパレル企業なのに、配属先はなぜか居酒屋!? ブラックインターンの実態

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190220-00125884-bizspa-bus_all

 

 売り手市場と呼ばれるここ数年の就活市場。とはいえ、大手・人気企業は依然として高倍率で、内定獲得するのもひと苦労です。

 学生としてはこの時期に行われるインターンを「なんとか内定への糸口としてつなげたい」と考えるでしょう。しかし、なかにはとんでもない“ブラックインターン”も存在するそうです。

「憧れのアパレル会社のインターンに決まったのに散々でした」と口をとがらせる、石井雅彦さん(仮名・23歳)。彼は昨年の就活生の時期に経験したそうですが一体、どんなインターンだったのでしょうか?
アパレル会社のはずが…居酒屋に集合

「中堅どころのアパレル会社ですが、粒よりのデザイナーが揃っているため、洋服好きの間では人気のブランドでした。もちろん僕もその一人なので、インターンとして就業できるとわかると、思わず『よっしゃあ!』と声に出してしまいました」

 ところが、インターン初日、他の大学生と会議室に集められ、そこで驚きの事実を知らされたのです。

インターン全員が飲食店に配属されるとのことでした。その会社が多角経営の一環として、アパレルブランド以外に、カフェや居酒屋、ワインバーを運営していたのです。僕はよりによって居酒屋。カフェやワインバーより雑用が多いと聞かされて、そこの店長に紹介されました」

 最初のうちは接客のセンスを試されるために配属された、と好意的に受け止めていた石井さん。しかし、後でわかったのは、同社はこれまでインターンを全員飲食店に配属していたという事実でした。
1日7時間働いても賃金はゼロ


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 石井さんは「だんだん、都合の良いように使われているのではという疑念が生じた」と言います。

「午後4時に入店して、準備に1時間。開店すると、ホールで注文を取ったり、酒や料理を運んだり、接客したり、後片付けや、洗いものをさせられたり、たまにレジもやらされました。

 売上をエクセルで集計するのも、いつの間にか僕の仕事になり、閉店の午後11時までこきつかわされて、帰宅。毎日ぐったり疲れますが、時給はゼロです。7時間働いて、賃金をもらえないなんて、バイトよりヒドいです」

 そもそもインターンの募集で、時給がもらえない条件は、全く知らされていなかったそうです。1週間後、たまらず石井さんは「そういえば時給を聞いていないのですが、いくらですか?」と店長に聞きます。

 すると、「聞いていないの?」と呆れた顔で見つめてきたそうです。この時を、石井さんは「嫌な予感がしました」と振り返ります。

 

劣悪な職場環境にインターン生の怒りが爆発

 店長は「他の人と同じように、無給だよ」と言い放ったのです。危機感を覚えた石井さんは、時給を出してもらうよう交渉を始め、カフェやワインバーなど、他の店舗で働いていたインターン生にも連絡を取ってみます。

「他のインターンも無給に対しては不満を口にしたものの、『選考を優位にするためなら、仕方がない』と、条件を飲んでいました。きっと他の店舗は仕事が比較的楽なのだと思いました。それに比べて、居酒屋はヒドかった。雑用の多さはもちろんですが、厨房のチーフが短気で、他のスタッフを怒鳴り散らしていたのです」

 そのためバイトを辞める厨房スタッフが続出し、石井さんは「次のスタッフが見つかるまでだから」という条件で厨房作業も手伝わされたそうです。

 怒鳴り散らすチーフに、最初は我慢をしていましたが、ある日、腹が立って「うるせえ!」と怒鳴り返してしまいます。石井さんは「お前が怒鳴ってばかりいるから、暗い厨房になって、みんな辞めてしまうんだよ!」と思い切ってチーフに言ったそうです。
「あと半年やれば、選考が有利になる」の提案に…


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 そこから石井さんは決死の覚悟で「楽しく働いてこそ、いいものができる、お客も喜ぶ」と訴えたそうです。そこからなんと、奇跡的なことに、現場の雰囲気が徐々に改善していきました。

「半年間のインターンが終わってから、僕は本社に呼び出されました。成績はインターンの中でトップだと褒められ、『あと半年やれば、選考が有利になる』と言われました。でも、最後まで続けたのは途中で投げ出したくなかったからと、選考をきっぱり辞退しました」

 憧れのアパレル業界で、しかも大好きなブランドデザインが多い会社でも、石井さんは後悔していないそうです。

「学生に“内定”というニンジン(エサ)をぶら下げて、無給で働かせる企業の内実はブラックか、あるいは将来ブラックになる要素が含んでいると思いました。それにアパレルブランドならほかにもいくらでもあります」

 その後、石井さんは就活で海外展開に力を入れている別のアパレル会社に入社。当初思い描いていた仕事内容とは違いますが、今は新しい希望を抱いているそうです。

― 特集・あなたも被害者?ブラックインターンの実態 ―

<TEXT/夏目かをる 取材協力/矢加部英達 イラスト/Yopsymi(@Yopsymi)>
bizSPA!フレッシュ 編集部

 

今野晴貴
NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

このような求人詐欺の相談は、私が代表を務めるNPO法人POSSEにも寄せられる。この記事のようにインターンの内容を「偽装」することで安い(あるいは無料の)労働力として学生を使い捨てるブラックインターンも多い。記事のケースは「時給ゼロ」だが、行政の通達では「直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる」(旧労働省平成9年9月18日基発第636号)と示されており、会社の利益になる作業を指揮命令下で行っているなら、賃金を請求することが可能だ。じっさい2017年にPOSSE仙台支部は、商品開発を体験できるはずが売り子やwebサイトの作業をやらされインターンであるとの理由で給料が支払われていなかった学生2人を支援し、労基署に申告することで未払い賃金を取り返している。